BFT名古屋 TECH BLOG

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【LinuC】ちょっぴりわかりにくい有効期限と再認定ポリシーを図にまとめてみた

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はじめに

こんにちは! 最近自宅で五目春巻きを揚げて食べるのにハマっているBFT名古屋支店 ・インフラ女子(?)のやまぐちです。
揚げ物ってやっぱり揚げたてが一番ですよね~!五目春巻きなら油が少なくてもフライパンでいけるしカスが出ないので晩ご飯のおかずとして重宝しています。

今回のテーマはそんなこととは全く関係のない、LinuCの有効期限と再認定ポリシーについてです。
またこれを機にきちんと調べてみたLinuCとは何か、ということも書こうと思います。
※2021年1月25日現在の情報です

LinuCとは何か。LPICとの違いを知る

正直今の今まで「LinuCはLPICの名前が変わっただけ」と誤解していました。詳細は以下のリンクにとてもよくまとめられているので参照いただくとしてポイントはこんな感じかと思います。
新しいLinux試験「LinuC」とは?LPIC資格の保有者こそ要チェック!

  • LinuCの運営団体はLPICと同じNPO法人のLPI-Japan。LPICは今でも受験できるが運営団体はLPI日本支部(英語表記と日本語表記の違いなんじゃないかと思いそうだが別団体)。
  • LinuCは日本市場特化型。かつレベル1、2のVersion 10.0は今求められるクラウドオープンソース、仮想化、コンテナの技術に関する問題となっている。

2つ目が特に重要で、「LPICはグローバルな資格なんだからLPICとLinuCでどっち受験したらいいかってLPICに決まってるじゃん」という記事を読みましたが、私は違う意見です。
LPIC時代の試験内容は技術自体が古く、どういう歴史をたどってきたのか勉強にはなりますがそんなの覚えても…と思うこともありました。また、ほぼ同じ試験内容をお金を出せば買える(C社が有名)ので、ただ資格を持っているだけで全く理解していない、使えていない人がいて資格自体の価値が下がっていたことも問題だったと思います。

個人的にとても興味が湧いてきました。また勉強し直そうかな。

資格の有効期限とは

ベンダー資格の多くは有効期限というものがあって、その期限内に上位資格または同等の資格を取得しないと「失効」します。基礎情報技術者・応用情報技術者など国家資格の多くに有効期限がないのとは大違いです(費用もベンダー試験は国家資格の3~6倍かかる)。
受かるまでの初期投資や受験に費用がかかること、ずっと受け続けなければいけないことにビジネス感が出て嫌になる人もいると思います。それでも知っていて当たり前な技術やコマンドをIT業界に入って5年目くらいまでにしっかり勉強しておくとその後やったことのない分野を担当することになった時や、お客様から突然話を振られた時に「あーあれですね」と答えられて相手に安心感を与えることができます。ゼロから始めるよりキャッチアップが早くなっていいですよね。

LinuCの有効期限は5年!

公式サイトの文言を引用し、それがどういうことなのかを図に表します。
試験別の有効期限 | LPI-Japan

レベル1やレベル2のように、2試験の合格が必要な認定の場合、両方の試験を5年以内に合格する必要があります。

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LinuCの有効期限 5年を過ぎると合格したものも無効

これは比較的わかりやすいです。レベル1やレベル2の認定には2試験どちらも合格する必要があり、それが最初に合格した試験から5年以内という期限付きとなっています。そのため以下のように5年を過ぎて2つ目の試験に合格しても1つ目が無効となり、レベル1を保持していると言うには再度1つ目の試験も合格しなければいけません。

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LinuCの有効期限 5年を過ぎると合格したものも無効

LinuCの再認定ポリシー

一度有効となったLinuCの認定も5年という期限があります。こちらも公式サイトの文言を引用し、それがどういうことなのかを図に表します。

レベル1、レベル2、レベル3の認定者は、認定日から5年以内に同一レベルの認定の再取得または上位レベルの認定の取得をすることで、ACTIVEな認定ステイタスを維持することができます。

まずはレベル1保持者向けです。

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LinuC-1の再認定ポリシー

レベル1の認定者は5年以内に2試験(101&102 or 201&202)に合格する必要があります。最初に201試験に合格したとしてもその時にはまだ「レベル1認定者で201試験に合格した」という状態に過ぎず、レベル2認定者ではありません。レベル2を目指さず現状維持するにしても再度101試験、102試験両方に合格しなければなりません。

また201試験、202試験に合格し晴れてレベル2保持者となることでレベル1の有効期限もレベル2認定日から5年後に延長されます。上位資格を取れば下位資格の優位性も延長されるということですね。

ただ何にしても受験費用だけで¥16,500 × 2 = ¥33,000!!書籍やテストサイトなどで1試験1万くらいかかるとすると¥10,000 × 2 = ¥20,000で最小でも合計5万オーバー!!!合格すれば受験費用負担という会社は多いですがそれにしてもリスクはありますね。

次にレベル2保持者向けです。

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LinuC-2の再認定ポリシー①

レベル2の2試験目を2030年11月1日に合格したとします。この時点でレベル1とレベル2の有効期限はその5年後の2035年11月1日です。LinuCのレベル3に関しては以下の3つの試験のうちどれか一つに合格すればレベル3認定となります。

  • 300 Mixed Environment(Linux, Windows, UNIX混在環境でのシステムインテグレーションやトラブルシューティングなど)
  • 303 Security(Linux環境での認証の技術及びシステムセキュリティを考慮したシステム計画、構成、設計、構築、実装など)
  • 304 Virtualization & High Availability(仮想化に関する一般的な概念、理論と用語など)


レベル3認定者となるとレベル1&2の有効期限もレベル3取得日から5年後に延長されます。ではここでレベル2取得日から5年目以降にレベル3の試験に合格したらどうなるのでしょうか。

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LinuC-2の再認定ポリシー②

例え300試験に合格したとしてもすべての認定が無効となってしまいます。仮に2036年1月1日に300試験に合格したとするとその有効期限である2041年1月1日までに101試験、102試験、201試験、202試験に再度合格すれば晴れて最後の試験の合格日にレベル3認定者となりますがだからと言ってレベル3の有効期限は伸びないので5年間のうちに5試験に合格しなければなりません。

レベル1の部分でも少し触れましたが5年で5個の試験だとネックは費用です。国家資格に比べてどうしても費用が高くなりがちなベンダー資格。個人的には受験費用がもう少し低くなれば一度失効した人ももう一度受けようと思うのになぁと思っています。

ちなみにレベル3認定者の再認定ポリシーで気を付けることは30Xの試験に合格すればよい、ということではなく300試験に合格したら5年以内に300試験、303試験に合格したら5年以内に303試験を再度受験に合格しないとすべての認定が無効になるということです。無慈悲・・・(泣)

終わりに

今回はLinuCの有効期限と再認定ポリシーについて図にまとめてみました。公式の文章だけ読んだ時に「本当にこの理解で合ってるのかな…努力して取得した認定が無効になったらどうしよう」といつも思っていたので、少しでも同じ不安を持つ方を対象に図で説明を残しておくことにしました。もし理解が間違っていたらどなたかご指摘いただけると助かります…。

おまけ:資格取得を「無駄だ」と言われたら

私は以下の理由で資格取得推奨派です。

  • 「知っていて当たり前」なことを手っ取り早く勉強できる
  • 資格取得に向けて努力した、技術習得をポジティブに捉えているという印象を持ってもらえる
  • 同じ資格を持っている人とは共通の言葉で語れる

特に3つ目は実際のプロジェクトでひしひしと感じます。とあるプロジェクトで「CAB(Change Advisory Borad:変更諮問委員会)」という非定期の会議体がありました。私はこの用語をIT業界に入った一か月目で取得した資格(当時はITILファンデーションv3)で知ってからというもの実際に使っているところを見たことはなかったのですが、この用語を知っていることで「このプロジェクトはITILのベストプラクティスを意識しているのだ」と説明されなくて理解できました。

資格を取る勉強で無駄なことは何一つありませんし、勉強したことを無駄にしないのは他でもない自分自身です。あと個人的な感覚ですが「無駄」という人の多くは資格を取得してきていない人でした。取得して「無駄」という人は勉強したことを活かせてない、取得してなくて「無駄」という人は活かせてない人を多く見てきた人だと思います。

資格を取った上で「あ~それLinuC101の範囲だよ」とか「CCNAでそれ出てくるよ」とか言って資格の有用性を伝えられる人が一人でも多くなってくれるととても嬉しいです。